超大型有料DLCの「アイスボーン(ICEBORNE)」の発売も決定している「モンスターハンターワールド(MHW)」。
今後続編も作られていくであろうMHW内の問題点を取り上げ、その解説と次回作に向けた改善案も書いていきたいと思います。今回は改善案シリーズの第3回となりますので、興味のある方は第0回~2回までも併せてご覧ください。
■目次
改善案シリーズ
モンスターを狩る理由に「調和」は無理がある
MHWでは新大陸と呼ばれる人類未踏の地に調査団を派遣し、その大陸と古龍渡りという現象を調査するのがストーリー上の大きな目的です。長い年月をかけて人類の拠点となる「アステラ」を築き上げ調査範囲を拡大し、その過程で腕利きのハンターが集められるところから今回の作品は始まります。
しかし、モンスターハンターワールドをプレイしていた多くのプレイヤーの首を傾げさせ、度々話題に上がったのはハンターがモンスターを狩る理由でした。
やっていることは「調査」?「侵略」?
元々人間がいなかった大陸に調査という名目で乗り込んでいくわけですが、当然元々そこに暮らしていたモンスターや動植物からしたら侵略されているも同然ですよね。
ここで大きな問題なのは、人間サイドの行動は「共存共栄」を目指しているとはとても言えず、ほぼ一方的な侵略行為を行っている点です。
元々そこに人間の生活圏があって、そこがモンスターに襲われるから狩りをするわけでもなく、
勝手に乗り込んだ大陸で、勝手に作った生活圏である「拠点」がモンスターに襲われるから、防衛手段として狩るわけでもなく、
勝手に乗り込んだ大陸で勝手に作ったアステラを拠点に、元々住んでいたモンスターの生活圏に自ら踏み入って狩りを行っている、わけです。
到底狩りをするのに正当性を証明できていません。
調査とは
調査と言うのなら、モンスターなどの生活圏と離れたところにキャンプをたて、「観察」をメインに行って、人類にとって危険があった場合に討伐するならまだわかります。
しかし実際は、調査と言いつつキャンプ近くのモンスターを邪魔だからという理由で狩り、「珍しいorよくわからないモンスターいるから狩ってきて」という利己的な要求がほとんどです。
どう考えても、調査ではなくモンスターを狩る行為そのものが目的ですよね。ゲームデザインとしては勿論あっていますが、ストーリー上はやっていることがチグハグです。
過去作から同様の問題はあったが...
こういった類の問題は過去のモンスターハンターシリーズでも度々議論されています。例えば、「何故最初のクエストでポポやケルビのような無害な生き物を殺す必要があるのか」といった具合です。当然危害を加えてくるわけでもない動物を一方的に、しかも明確に殺すわけですから、嫌悪感が出るのは当然ですよね。また動物のモーションも凝っているため見ていて本当に可哀想になります。この段階で一定層のプレイヤーは離脱しています。
とはいえ、旧モンハンシリーズでは元々人の生活圏である村がモンスターに襲われたり、人が犠牲になったりと、ある程度モンスターを狩る正当性がありました。
しかし今作は前述の通り、実質やっていることは一方的な「侵略」、もっと本質を突いてしまえば「虐殺」であり、ゲームだからと割り切れないタイプのプレイヤーには旧作以上の罪悪感が芽生えます。
優秀な「グラフィック・モーション・AI」が余計に嫌悪感を増幅させた背景
モンスターハンターシリーズは今作「ワールド」からプラットフォームを変更し、最先端のコンシューマー用ゲームとして生まれ変わりました。映像などの技術に全くフォーカスしていなかった過去作から映像・モンスターのモーション(動き)・AIなどが大幅に進化したのは勿論良い事ですが、よりリアルになった動物的動きや映像は、プレイヤーに過去作より大きな罪悪感を芽生えさせることになります。
また、生態面でもモンスター毎に特徴を出すため、攻撃性の低いモンスターなども多く存在します。彼らはハンターが目の前を通っていようとこちらには敵意を向けずに、のんびり日向ぼっこをしていたり、あくびをしたり、水を飲んだり、思い思いに日常を過ごしているだけです。こんな様子を見せつけられては、どう考えてもこちらが悪者というか、かなり質の悪い通り魔のような存在であることを嫌でも自覚させられます。いざ、攻撃をして体力が残り少なるとモンスターは足を引きずりながら逃げる様も悲痛であり、それをプレイヤーは追いかけなければなりません。
こういったゲームの進化も影響し、発売当初はモンスターを攻撃するのが辛いという意見をそこかしこで見かけました。
更には一般人の感想という枠を超え、発売当初に海外の動物愛護団体からも「モンスターを虐殺するゲーム」のように厳しく非難されたこともあります。とはいえ、この団体はまともな動物愛護精神よりも、お金欲しさにナンニデモ文句つける人達もいるので半分無視していいですが。勿論まともな人も沢山いますけどね。
「調和のため」という謎の免罪符を持ち出す
個人的に一番腑に落ちないのが調査団が使う「調和」という言葉。 「我々はモンスターを憎くて倒すわけではなく、調和のために狩っている。調和を目指すのがハンターだ!」という理念のようですが、全然筋が通っていないというか(´・ω・`)
「犯人は『調和のためにやった。俺は悪くない』などと供述しており...」と同じくらい腑に落ちないです。
難関クエストである「導きの青い星」をクリアした後も、「お前は敵を否定するでもなく、叩きのめすでもなく、調和の道を選んだんだ!!」的な、そんな感じの意味不明な褒め言葉も貰いますが、わざわざ生息域に乗り込んでいって捕獲もできない古龍を3体殺してきてるのに何言ってんだこいつらって感じです。
犯罪者集団が新世界のためとか言って殺人を正当化しているような、そんな気持ち悪さも感じます。 ただの侵略行為ですからね(´・ω・`)
改善案
では、これらの問題について個人的に思いつく改善点や案を出していきたいと思います。
狩りをする理由と、そこに正当性が欲しい
単純ではありますが、人が襲われるとか村や拠点が襲われるというシンプルな正当防衛を作るのがわかりやすいのではないでしょうか。それでもMHWの場合、元々人のいなかった新大陸に勝手に住み着いているわけですから、正当防衛かと言われると微妙なところではありますが...。
とはいえ、ただ生活しているだけで自分から襲ってもこないモンスターの生活圏に侵入していきなり斬りかかるよりはマシでしょう。
善人面するよりは悪行を認めた方がマシ?
上記の通り、人間が勝手にモンスターが暮らしていた新大陸に渡ってやっていることですから、そもそも正当性を付けるのは難しく結局人類のエゴでしかありません。
それならいっそのこと、変に誤魔化しているより「自分たちの行いはモンスターにとっては侵略行為だ」と自覚している方がまだいい気もします。
・本土に新大陸からモンスターが渡ってこないか見張るため。
・まだ見ぬモンスターが本土を襲う前に、事前に調査と狩猟を行ってデータを取る。
こんな感じの理由にして、
モンスターにしてみれば侵略行為でも、「モンスターには悪いと思っているが、本土の人類を守るために事前にデータを集め、戦闘データも取っている。」とかの方がまだマシかもしれません。
雰囲気だけの「調和」という単語で誤魔化すのはやめて欲しい
少なくとも「調和」という単語を脳死で連発するのはやめて欲しいのが正直なところ。誰も掘り下げて喋らないし、都合が悪い部分に触れなくて済むように連呼しているようにしか感じないです(´・ω・`)実際開発がそういう意図で言わせているんでしょうが、もっと深堀してちゃんと理由付けするべきだったと思います。
調査団に結果的に救われたのも事実
結果論で言うと、調査団が来たおかげでゾラマグダラオスを海に誘導できたため新大陸は滅びずに済んだのも事実です。好意的に解釈すればゼノジーヴァやイビルジョーのような不穏分子をハンターさんが倒してくれるのも、ある意味良かったのかもしれません。
あくまで結果論ですが、そういう意味では新大陸の生態系を救ったのは調査団ということになるので、あまり悪口ばかり言うのも間違っているかもしれませんね。
この問題で重要なのはプレイヤーの選別が行われること
こういう話題になるとよくあるのが「お前は肉を食ってるくせに偽善者ぶるな!」という意見。それはそれでどうなのとも思いますが、そういう正義だ悪だとかいう話よりも、CAPCOM的に重要なのはプレイヤーの選別が行われることです。
害のない動物への攻撃や無抵抗のモンスターを攻撃することは、気にしないでプレイしている人やシリーズに慣れている人はいいとしても、そこで嫌悪感を覚えてゲーム自体をやめていく人も数多くいます。過去作の頃から度々話題になったり、ラジオなどでモンハンの話題になったMCが「可哀想だったから最初でやめた」と発言したり、今作は前述の通り海外の記事で批判されたりもしました。
合わないなら無理にやらなきゃいいのは事実ですが、開発としてはまともにプレイせずにやめられるのは不本意でもあり、結果的にモンハンシリーズの繁栄を妨げる一因になってしまいます。そのため、できるだけ多くのプレイヤーに嫌悪感を与えないゲームデザインにすることは非常に重要な要素と言って良いでしょう。今後はこういった細かい要素や設定にまでこだわっていって欲しいですね。
対古龍以外に使える罪悪感を減らす方法
あくまで罪悪感を減らすための方法ですが、皆さん捕獲したモンスターは設定上どうなっているかご存知でしょうか?
闘技場にぶち込まれたり、解剖されてると思うかもしれませんが、実際は「データを取るため導蟲に匂いを覚えさせて野生に返す」が正解です。見つけにくい話題ですが、生態研究のお爺さんが条件を満たした時に教えてくれます。じゃあ、闘技場に増えるのはなんなの?と言われると私は知りませんが。
とりあえず、公式では捕獲したモンスターは「野生に返している=生きている」ということなので、動物愛護精神が強い人は捕獲するようにすると少し救われるかもしれません。じゃあどうやって骨髄とか報酬で出てるのとか言われても知りませんが。
古龍は...捕獲できないからちょっとどうしようもないです(´・ω・`)皆可愛くて好きなんだけどね